2014年12月31日水曜日

2014年 ありがとうございました

今年も多くの方々に支えられ、全力で仕事に打ち込むことができました。

1月から始まった国内10ヶ所での個展とロンドンのアートフェアで、
ガラスに込めた美意識をチカラの限り伝えました。

特に名古屋市の古川美術館では、数寄屋建築と日本庭園を舞台に、
長い間構想していたインスタレーションやガラスの日本庭園など、
ガラスアートで表現した私の世界観を全て曝け出し、やりきった二ヶ月間でした。
その結果、自分でも驚くほどの共感の声をいただき、表現者としての喜びを噛み締めました。

http://www.nishinaka.com/Exhibition_at_furukawa.html



冬場は温室と化すガラス工房ではハイビスカスが咲き、
これからの作品発表に向けて試作や構想に没頭する私を応援してくれています。

2015年も、皆様の心を耕せる作品を生み出せれば本望です。

西中千人


2014年12月28日日曜日

一瞬の造形のために


吹きガラスによる作品制作は、感性や呼吸、間合いが大事。

技術だけじゃダメ。


目的と志をひとつにして、通じ合える仲間と一緒に、描いた想いをカタチにする。


いつもありがとう。



年末も制作はまだまだ続きます!





2014年12月11日木曜日

ガラスでサプライズ。冬の茶会

柿傳ギャラリーでの個展期間中、同ビルにて茶の湯同好会の茶会が開催された。


床には、現代作家のオブジェ作品やルオーが飾られ、
冬の席にもかかわらず、ガラスの茶碗や菓子器が使われた。

「流派を問わず今を問う」と、今の茶の湯の在り方を追求される
亭主の林屋晴三先生の世界観が表されたしつらえに、参加者は感嘆の声をあげていた。



「 盌 呼継  」  隙間から茶の緑が透け、美しかった。


「 盌 呼継 織部 」 
古田織部400年遠忌追善茶会 (2014年6月) のために作らせていただいたもの。



「 呼継 」 菓子器として。温かな葛焼きが供された。


 「 手付鉢 」 こちらも菓子器として。


華やかさ、温かみ、緊張感、躍動感。
ガラスは表情豊かに、場の一部となっていた。







2014年11月30日日曜日

< 西中千人ガラスの世界 > 柿傳ギャラリー

本日個展がスタートしました。



エレベーターの扉が開くと、「時刻(トキ)ノトビラ」がお迎えしています。


ガラスの飛び石=光の道しるべを渡るとその先に


 生命やココロを閉じ込めた「ヒト・ホシ the universe」


壁面には「月夜山水」


五島美術館 主任学芸員の砂澤祐子さんとの対談

『 ヒビの美を見出す ―桃山の茶陶~現代のガラス― 』も盛況でした。


ガラスが発する「光」の癒しに包まれにいらしてください。

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< 西中千人ガラスの世界 >

11月29日(土)ー12月7日(日)
11:00 ~ 19:00  ( 7日は17時まで )
柿傳ギャラリー
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル B2階
( 新宿東口駅ビル ルミネエストすぐ隣 ) TEL:03-3352-5118 

http://www.kakiden.com/gallery/archives/13288/

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西中千人 在廊日 :11月29日(土)、30日(日)、12月1日(月)、5日(金)、6日(土)、7日(日)




2014年11月26日水曜日

個展に向けてラストスパート!


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< 西中千人ガラスの世界 >

日時:11月29日(土)ー12月7日(日)
場所:柿傳ギャラリー

  11:00 ~ 19:00  ( 7日は17時まで )
  〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル B2階
( 新宿東口駅ビル ルミネエストすぐ隣 )
 TEL:03-3352-5118 
 http://www.kakiden.com/gallery/  

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< 特別対談> (要申込)
 砂澤祐子氏 ( 五島美術館 学芸員 ) × 西中千人
 『 ヒビの美を見出す ―桃山の茶陶~現代のガラス― 』
 日時:11月29日(土)16:00〜17:30 
 場所:柿傳 安与ホール(ギャラリーと同じビル7階)
 会費:無料  

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< オープニングレセプション >
 日時:11月29日(土)17:30:〜19:00 
 場所:柿傳 ギャラリー
 会費:無料 申込不要
 *京懐石 柿傳のお酒とおつまみをふるまいます

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*世田谷の閑静な住宅街にある五島美術館は、国宝「源氏物語絵巻」をはじめ、日本・東洋の古美術を中心に名品を所蔵する人気の美術館。
対談のお相手である砂澤祐子さんは、その五島美術館の学芸員さんで、昨年、NHK日曜美術館でも紹介された「光悦-桃山の古典(クラシック)-」展を企画された方です



http://www.nishinaka.com/news.html


2014年11月21日金曜日

50歳

50年の間、ニンゲン稼業を生きているということですね!?

歳を重ねるからこそ見えるモノ、また積み上げていく大切さや、捨てる潔さを実感しています。

近くがカスミ始めた変わりに、遠くに天命がボンヤリと見えてきました。

これからも毎日生まれ変わり、自分の中にある「世間の常識」を叩き壊し、
新たに挑み、モガキ続けていくだけです。
    
「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」

                             西中千人






2014年11月15日土曜日

日本人がデザインしたアメリカの魂!?


脳ミソ(車載コンピューター)の移植手術を終え、ようやく帰宅。
今年、32歳の愛車とは23年間の長〜い絆。
カリフォルニア留学中に一目惚れし、帰国時に引っ越し荷物で連れ帰り、
富山、神奈川、千葉と連れ回して現在に至っています。
半世紀前、この ”アメリカの魂” をデザインしたのは、日系アメリカ人のラリー シノダ氏。

彼の想いを引き継いで、これからも大事に付き合っていきます。



2014年11月13日木曜日

ー11月29日開催ー 対談「ヒビの美を見出す ー桃山の茶陶〜現代のガラスー 」〜五島美術館学芸員 砂澤祐子氏と〜


桃山の茶陶と西中千人のガラスアート、その歴史や共通点、心意気について、
日本独自の美の世界「ヒビの美」をキーワードに、砂澤祐子さん (五島美術館 学芸員) と熱く深く語り合います。

「日本の美を楽しむ」きっかけを得られるイベントです。
ぜひ、お気軽にご参加ください。
申込受付中です(無料)。
お申し込みはこちら→ ニシナカユキト GLASS STUDIO

対談の後は、同ビル地下のギャラリーで、
私の作品を囲みながら語らうオープニングレセプションも開催します。


ヒビに美を発見した茶人の美意識=継ぎの美に触発された「ガラスの呼継(よびつぎ)」を出展します。
 器を壊し、繋ぎ合わせ、新たに生み出す「呼継」。

ガラス=光を取り入れた「 ガラスの日本庭園 」をギャラリー内に制作します。
光の道しるべに誘われて、ガラスの飛び石を歩いてみませんか。

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西中千人 ガラスの世界 
― 受け継がれる美意識に革新を、そして未来の伝統に ―

 11月29日(土)ー12月7日(日)  
  11:00 〜 19:00  ( 7日は17時まで )
 柿傳ギャラリー
   〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル B2階
   ( 新宿東口駅ビル ルミネエストすぐ隣 )
   TEL:03-3352-5118   ▶ 柿傳ギャラリー

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< 特別対談> 
 砂澤祐子氏 ( 五島美術館 学芸員 ) × 西中千人
 『 ヒビの美を見出す ―桃山の茶陶~現代のガラス― 』
 日時:11月29日(土)16:00〜17:30 
 場所:柿傳 安与ホール(ギャラリーと同じビル7階)
 会費:無料  
 お申込:ニシナカユキト GLASS STUDIO
 柿傳ギャラリー 
 TEL:03-3352-5118  MAIL:gallery@kakiden.com

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< オープニングレセプション >
 日時:11月29日(土)17:30:〜19:00 
 場所:柿傳 ギャラリー
 会費:無料 申込不要
 *京懐石 柿傳のおつまみとお酒をふるまいます

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*世田谷の閑静な住宅街にある五島美術館は、国宝「源氏物語絵巻」をはじめ、
日本・東洋の古美術を中心に名品を所蔵する人気の美術館。
対談のお相手である砂澤祐子さんは、その五島美術館の学芸員さんで、
昨年、NHK日曜美術館でも紹介された「光悦-桃山の古典(クラシック)-」展を企画した方です。




http://www.nishinaka.com/news.html




2014年10月21日火曜日

< 新宿のビルの地下に「ガラスの日本庭園」出現! ー予告その1ー >


日本庭園の飛び石がガラスに変わるだけで、それまでの木々の匂いや苔の色までもが新鮮に感じられる。
晴れた日は「光」、雨の日は「水」として存在するガラスという素材が、
「人間は自然の一部である」と、あらためて気づかせてくれる。


空気の泡が入ったデコボコのガラスの飛び石は、とても有機的な存在なので
自然の石や、木や苔や風や太陽の光と調和します。


この飛び石は、溶けたガラスを型に流し込んで作っています。

名古屋の古川美術館の数寄屋建築と日本庭園でご覧いただいたガラスの庭とは、
http://www.nishinaka.com/Exhibition_at_furukawa.html
ひと味違った、ビルの地下という閉じられた空間での庭を作ります。

お楽しみに!

http://www.nishinaka.com/news.html

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西中千人ガラスの世界 
― 受け継がれる美意識に革新を、そして未来の伝統に ―
  11月29日(土)ー12月7日(日)  
  11:00 〜 19:00  ( 7日は17時まで )
  柿傳ギャラリー  
   〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル B2階
   ( 新宿東口駅ビル ルミネエストすぐ隣 )
   TEL:03-3352-5118  

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2014年10月16日木曜日

名画を切り、名器を継ぐ

井戸茶碗を真十文字に割って、ヒビを強調するために金を埋める。

割れた青磁の茶碗に打ち込まれた鉄のカスガイを景色として愛でる。
黒茶碗に華やかな文様の陶片を組んで継ぐ。

他には類を見ない独特の美意識、これぞ日本のサムライ魂。



生と死を哲学し尽くしたから、器にとって致命的な傷である筈の「ヒビ割れ」にさえ美を見出し得た。

生き様そのものが美意識になっている、これぞまさしく命の表現。

この生き様に触発されて生まれたのが、私が取り組んでいる「ガラスの呼継」。

何百年も後の世の人々の魂を揺さぶり、血を騒がせる日本独自の『 継ぎの美学 』 。

根津美術館で 11月3日まで。











2014年10月11日土曜日

円覚寺 龍隠庵復興 勧進茶会

鎌倉の名刹、円覚寺にて
茶会に参席させていただいた。


侘びた龍隠庵で、濃茶をいただく。

柔和な顔相の太田住職が地域の方々と一緒になって龍隠庵を復興する。

席主を務められた林屋晴三先生は「あるべきようわ」という栂尾明恵上人の言葉について語られた。



たまたま同じ空間と時間を共有した者が、一碗の茶を共に喫する。
心地の良い時が流れ、所作に気持ちが繋がる。

一期一会。

一瞬一瞬の共鳴するココロを生み出せる作品を創っていきたい、と深く思った。

偶然、懐かしい顔にも会えた一日だった。




2014年9月30日火曜日

狂い咲き!?




朝夕に肌寒さを感じる季節になって、柱サボテンが大きな花を咲かせた。
夜だけしか咲かない幻想的な大輪は、去りゆく夏を惜しんでいるのだろうか。
それとも、狂い咲き!?なのか。
植物の生命力の結晶させた美しい花は、どんな季節でも私の心を揺り動かしてくれる。





2014年9月13日土曜日

地球の鼓動を感じる大自然の懐へ アラスカ 最終編

アンカレッジからアラスカ鉄道に乗り、陸路でデナリ国立公園へ向う。



ツンドラとは、こんなに豊かな緑の森だったとは !!!  私のイメージをはるかに超えたていた。


夏のアラスカは、頭上にひろがる空がやたらに広い。
全方向の青空と樹々。


小さな島国とは比べるべくもない、桁違いに雄大な自然の中を進んで行く。
グリズリーやイヌワシ、トナカイなどの野生動物が自由に生息する大地に、人間が、そっ~とお邪魔する。


デナリ国立公園内

ようやくバギーでたどり着いた場所には、大地を削り込んだ砂の彫刻。

水と風とが作り上げた厳しい砂の造形には、ヒトが造る彫刻のように個人のエゴも見せようとする作為もない。
それなのに、長い時間や拒絶といったストーリーを感じずにはいられない。

私が評論家なら「ひたすら圧倒されるチカラ強さは、孤独感と表裏一体ですね」という解説をしてしまうのだろうか。
本来の自然は、そんなちっぽけな感情など持ってはいない。




ここに居ると何モノにもとらわれず、勝手に気持ちが解放されていく。
アラスカの自然は、有無を言わさない莫大な生命力で、私自身が作ったつまらない思い込みや先入感を洗い流してくれる。

雄大な自然に包まれる安心感や地球との一体感、ヒトが自然からいただくチカラ。
この感覚を魂に刻む。



これからも流されることなく、日々、新たに生きていく。
自由に愚直に、ただただ突き進む。
その先には何があるのだろう、楽しみだ。







2014年9月10日水曜日

地球の鼓動を感じる大自然の懐へ アラスカ その4

地球の表面積の7割を占める青い海。
その見渡す限りの海をただただ突き進む。
コレこそが、宇宙空間から見える青い地球。





太陽は、雲を引き連れ水平線から昇り
また海へと帰って行く。
私達は、なぜか明日の日の出を疑わない。




全ての生命の源としての海。



その瞬間瞬間で、様々な表情を見せてくれる海の上をゆっくり、しっかり進んで行く。





2014年9月2日火曜日

地球の鼓動を感じる大自然の懐へ アラスカ その3

Mendenhall Glacier      



氷河に削られた岩肌に苔が生え、土となり、草木が茂り、花が咲く。

植物が発する生命の匂いに包まれて、
長い年月をかけた地球のライフサイクルを体感する。



川底が見えないほどの鮭が遡上し、
鷲が天を舞い、クマ達が我が物顔で歩き回る。







2014年8月28日木曜日

地球の鼓動を感じる大自然の懐へ アラスカ その2

雲海に浮かぶ マッキンリー山


プロペラ機から真横に望む、北米大陸最高峰の造形美。
太陽を浴びて輝く荘厳な姿。

古来から、山に祈りを捧げる気持ちを理解できた気がする。








地球の鼓動を感じる大自然の懐へ アラスカ その1

大地を削る氷河 Glacier Bay


凍った川は大地を削り取りながら、膨大な記憶と共に海に辿り着いた。



巨大なガラス彫刻のような姿で立ちはだかる氷河。
静寂の中で突如、雷鳴を響き渡らせて海へと崩れ落ちる。


地球は生きている。










2014年8月16日土曜日

守り神 ー15mの大蛇ー


グルグルと動き出しそうな生命を、やわらかいガラスで表現した。

「西中さんの感性で、自由に白蛇を表現してください。」とのご依頼だったので、
楽しみながら制作し、思い通りに作らせていただいた。
仕上がりには、我ながら満足。

個人邸の広大な庭のに建てられる「かまど」の屋根の梁に設置されると、
どんな様相になるのか、今から楽しみだ。


2014年8月11日月曜日

ーガラスと錫ー 涼を呼ぶハーモニー

「波音(なみね)」と名付けた切子の水指。
波が創った海底の砂模様を表現したものだ。




分厚く吹いたガラスをダイヤモンドの砥石で深く削り、流れるようなラインで躍動感を出す。
見た目の清涼感に加え、手で触った感触が柔らかで気持ち良い、と評判も上々だ。

硬いガラスが柔らかいって。冷たいガラスが温かいって。
私のガラス作品はそのように感じられるそうだ。
ドロドロに熔けたの柔らかな熱いガラスから作っているのだから、
その柔らかで温かな美しさを皆様と分かち合いたいと考えている。


今回は、涼しげな錫の蓋を特別に新調した。


定番の真塗は馴染みがあって落ち着くが、夏場に錫はガラスと良く馴染む。
黒く酸化しないので、銀製より扱いやすいという利点も大きい。

摘みの形状、鎚目、板の厚みまで、お客様と錫の工房と一緒になって、
綿密な打ち合わせを重ねてようやく完成した。

私自身、とても納得のいく仕上がりになり満足している。

どういう道具の取り合わせで茶席に登場するのか、とても楽しみだ。




2014年7月8日火曜日

ガラス呼継の手水鉢 @ 柿傳

新宿のビルの7階にある茶室にガラスの手水鉢を作らせていただいた。



水をたたえて静かに輝く生成色のガラス呼継が、都心の茶室に爽やかな空気を漂わせる。
青竹の柄杓置きは、この日の朝、近くの竹林から切り出し持参した。



林屋晴三先生は、「おとなしくまとめすぎず、もっともっと好きにやっていいんだぞ」と、激励の言葉をくださった。

茶会に参加されたお客様からは多くの賛辞をいただいたが、調和にこだわり過ぎ、自分らしさが足りなかったかとも思う。

次作では大暴れの予定。
益々のご期待を!



2014年6月29日日曜日

ヴィーナスが菩薩に

玄関を入ると大きな窓越しに拡がる中庭の緑が目に飛び込み、圧倒された。
皆が集まるこの場所に、空間を引き締め、メモリアルとなるガラスアートを設置したいとのご依頼だった。


生命の誕生を表現した作品は、この場所で心に焼き付くシンボルとしての役割を果たしてくれそうだ。
庭の緑とブルーのガラスを透して差し込む光が、来客の心を安らかに癒してくれると確信した。








2014年6月20日金曜日

林屋晴三先生ご来場

日本橋高島屋の個展に、林屋晴三先生がお越しくださった。


サイズ感やフォルム、バランスについて、いつもどおりの厳しいご指導に愛を感じる。
数年前、先生からいただいた「覚悟」という言葉は、
今も私の信念だ。

課題をいただいていた作品が完成し、次週ご覧いただくことになった。
「おう、やっとできたか。」という先生の優しい笑みに
「お気に召さなかったら叩き割ってください。」と覚悟を決めて答えた。



中澤一雄氏と対談 ー ガラスの呼継 ー

6月14日 日本橋高島屋の個展会場で、ギャラリートークを行なった。


ガラスとの出会い、呼継について、また、ガラスの日本庭園や禅の思想など様々な観点から、
高島屋美術部顧問の 中澤一雄氏 に対談のお相手をしていただいた。



私にとって「呼継」とは、日本独自の美意識。
欠点であるヒビを金で強調し、景色として愛でる。
こんな文化は日本だけ。

400年前、常に生と死を哲学しながら戦に挑んだサムライが生み出した茶の湯。
「ヒビ」を「死」と捉えたサムライの生き様、死に様の美学の表現だと私は解釈している。



割れた物の修理とは異なり、あえて割ることから始めている意味について。
今ある物を壊すのは、「このままで良いのか?」「この先に未来はあるのか?」という自分自身への問いかけ。

壊すためにいくつも作る。作った物を自分で壊す。
壊すという行為は嫌なことだが、それに勝るものを生み出さなければならないという信念のもと、
覚悟を持って壊し続け、生み出し続けている。



「ひとつの作品を創るのにいくつの作品を壊すのか」という質問に、「最低3つの作品を壊す」と答えると、
「そこから生まれる新たな作品は、4つ目の命だ」と、中澤さんは仰られた。

変わらなければならない。
それが私の呼継。

西中千人ガラス展@日本橋高島屋 美術画廊
6月24日まで開催中。