2011年12月30日金曜日

田中泯さんと餅つき

世界的に活躍するダンサー田中泯さん。
近年では、映画「たそがれ清兵衛」で数々の映画賞を受賞、大河ドラマ「龍馬伝」では高視聴率獲得と、俳優としても注目を集めています。
ライフスタイルも独自のスタイルを貫いていて、山梨県桃花村で農業生活をしていらっしゃいます。

10年程前、工房を千葉に移した頃、始めてお会いした時にいただいたアドバイスが、
『土を耕しなさい。土の中には全ての色と形、生と死があるから』でした。

それから工房の周りに花木を植え始めました。
植物と生活を共にしていると、たった一枚の葉が、何万種類もの色を見せてくれることに気づきます。
春先の朝日に透ける新芽の透明な緑、夏の陽をシッカリ受けとめる深く濃い緑、
秋には黄色から赤や茶色へと、一日毎に緩やかに変わっていきます。
そんな葉も冬になると落ちて土に還っていく。

コレが泯さんの教えてくれた「耕しなさい」の意味なのか、と気がつくまでに何年が経っていました。

その後も、お会いするたびに、飄々と哲学的な話を聞かせてくださいます。

今年最後の舞台は、ピアノの高橋悠治氏との共演で挑戦的な内容の舞台でした。
「流れ続ける思考のなかで、何処に向かっているのか分からなくなった」と、
舞台直後にご本人も話していらっしゃいました。

60代半ばになられた泯さん。
30代のアスリートのような筋肉を維持されているのも、たゆまない努力の積み重ねですね。

ますます深く、且つ自然に、田中泯の世界観をダンスを通して広めていってください。

舞台の後は、恒例の年越し餅つき大会でした。
ごちそうさまでした!




2011年12月24日土曜日

< 花カレンダー 2012 > その1 = 川崎景太氏 =

フラワーアーティスト 川崎景太氏から、2012年カレンダーをいただきました。



” 花グラフィック ” と名付けられたレリーフ作品は、鮮やかな季節の花達が織り合わされたように優雅で美しい。

『地球上の同じ生き物として、人は切り花にとって自然界では果たせなかった人と共に生活できる心地よい世界を提案する義務と責任がある。』という彼の言葉どおり、

この作品の花たちはとても満足げに見えます。

マミフラワーデザインスクールを主宰される川崎景太氏は、カリフォルニア芸術大学の私の先輩です。
そのご縁で過去に2回、私のガラス作品とコラボレーション展示をしていただきました。

それ自体が美しい「花」という素材で、新たな意味を持つアート作品を生み出していく彼の様々な試みは、いつも新鮮で私をワクワクさせてくれます。

独自のコンセプトで世界に向けてフラワーアートを発信し続ける先輩の仕事を、
手本としていつも心に留めています。

2011年12月19日月曜日

Special な グラス「流 涼」

スペシャルカラーの「流涼」。
ブルーの「流涼」をお求めいただいたお客様のご依頼で制作させていただきました。


『 深く削り込んだ凹凸が手に心地よく馴染み、柔らかさと温かさを感じる不思議な質感が魅力 』と好評をいただいている自信のシリーズです。

「器は料理の着物」と魯山人が語った通り、「器」は「食」を左右する重要なアイテムです。
五感で楽しむ「食」。
器は、見て、触れて、聴いて、「食」を盛り上げます。

グラスに限らず、華やかなガラス器は、クリスマスやお正月の食卓でもアクセントになり、活躍します。

年内にお届けできて良かった!
新しいグラスで良い年をお迎えください。

2011年11月23日水曜日

クリエイターズ コラボレーション

東京ディズニーランドのロゴ制作なども手がける
グラフィックデザイナー 吉田修一さんとの 2012年コラボカレンダーが出来ました。




躍動感溢れる文字デザインと、洗練された色使いが繊細なバランスで仕上がっているのは、やはり吉田氏の人柄、品格ですね。


私のガラスが、異なった解釈で興味深いグラフィック作品になり、
それを離れところから第三者として捉えることができて、とても新鮮です。

このカレンダーは、『地球はともだち』事務局主催の
『チャリティカレンダー展』(ランプ坂ギャラリー  11月28日まで)で販売され、
売上は、被災地の東北3県に寄附されます。  http://www.tiqtomo.com/index.html



2011年11月19日土曜日

紀州徳川養翠園と和歌の浦

「養翠園」は、紀州徳川家 第十代藩主 徳川治寶が作った大名庭園です。
実家から徒歩10分、久しぶりにやって来ました。
徳川吉宗が紀州徳川家の第五代藩主だったことから、「暴れん坊将軍」のロケが行なわたことでも知られています。


松をテーマにした7000坪の庭園です。
常緑樹の松は、永遠の命や不老長寿を意味しています。
松の造形が、豪快で、カッコイ~!のです。
「立華すかし」という仕立て方法だと庭師さんからお聞きしました。
「いいね~、この枝っぷり」と、植木好きの私は、いつも庭師になったつもりで木を眺めます。
海水を引き込んだ汐入の池は、潮の満ち干で景色が変わります。汐入の池は、将軍家の「浜離宮」と、この「養翠園」の2カ所だけ、大変珍しい造りです。

紀州特産の青石(緑泥片岩)。
このあたりでは、敷石や石垣によく使われます。子供時代には当たり前過ぎて意識していませんでしたが、色といい石目といい、美しいですね。

池の魚を狙っているカワセミ。
橙色のお腹と、輝く青色の背中の強烈なコントラストが美しい。池を泳ぐ鴨や、跳ねるイナ(ボラの幼魚)を眺めていると、気持ちが安らぎます。
庭園設計者の意図が、200年の時を超えて伝わってきます。
六本木ヒルズの毛利庭園よりも贅沢な気持ちになります。

子供の頃、通っていた保育園のある和歌浦。
万葉の歌人、山部赤人が「若の浦に 潮満ち来れば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る」と詠み、この地の美しさを世に伝えた景勝地です。
中学生の頃、「和歌浦で最も綺麗なのは、ここの奠供山(てんぐやま)からの眺めだ」ということを、発見した自分を誇らしげに思っていました。
しかし、1300年も前に山部赤人が歌に詠んでいたのを知り、真面目にショックを受けました(笑)。

もう一カ所、天満宮からみる和歌浦も格別です。

万葉の時代には、小野小町も訪れた玉津島神社。和歌の神様をお祀りしています。
日本初の屋外エレベーターが作られたのも此処です。(今は残っていません)
100年前に夏目漱石が乗り、小説 「行人」 に登場したことでも知られています。
江戸の二大庭園のひとつ、駒込の「六義園」は、ここ和歌浦の景色を元に設計されています。
六義園は12月4日(日)までライトアップされ、日中とはひと味違った美しさも楽しめます。


「紀州東照宮」
通っていた和歌浦小学校の隣りです。
さすがに紀州徳川家、八尺の木から削り出した左甚五郎作の彫刻や狩野探幽作の襖絵が納められています。50年に一度修復されるそうです。


ここでも敷石は全て青石。雨に濡れると蒼い地面が幻想的に際立ちます。


歴史を感じさせる建物も残る「明光通り」。
「明光」の名は、聖武天皇がこの地を「明光浦(あかのうら)」と呼んだことに由来します。


久しぶりの和歌浦で、子供の頃当たり前だった景色の中に新鮮な美しさを発見しました。
アメリカに留学して、改めて日本の美が見えてきた時と同じようです。

歌人が和歌で美しさを今に残したように、私はガラスで日本の美を表現し、伝え、時を超えて残していきたいと思います。


2011年11月17日木曜日

大桑文化奨励賞

日本の美を追求するガラス創作活動を評価していただき、
大桑教育文化振興財団様から文化奨励賞をいただきました。




大桑勇氏は幼少期、経済的理由で十分な教育を受けることができなかったそうです。
同じ悲しい思いをさせたくないとの理由から教育文化振興財団を設立され、
奨学金の支給や文化活動支援などを行っていらっしゃいます。

私の活動を認めてくださり、心から感謝しています。
世の中の役に立てるように頑張るぞ !!! と、気合いを入れています。


テレビ和歌山さんの報道番組で、私の活動や作品についてお話させていただきました。
制作の方も出演者の方も、和歌山のイメージそのまま。穏やかで純粋。
アットホームな雰囲気の中で、番組は進んでいきました。
故郷を離れて30年近くになりますが、和歌山言葉がうまく話せてましたよ。(そう思ったのは本人だけ?)

地域に密着したテレビ和歌山さん。
制作側と視聴者の距離がイイ感じなんですね。

アートも、作品と観るヒトの距離感は、とても大事です。
心に入り込める作品を創り出すのが、私の目指すところです。

2011年11月9日水曜日

長谷川等伯と狩野派@出光美術館

この展覧会は、狩野派と長谷川派を比較するという趣旨です。

両者の作品に対して、私が得た感覚は、

等伯さんの作品は、観る者のイマジネーションが絵の中心に設定されている。
その為、余白が大事。

狩野派の象徴的なスタイルは、さぁどうだコレでもか!!と、どんどん画題を押し出しいる。
なので、構図が大事。

皆さんは、どう感じられましたか?

展覧会の趣旨とは異なりますが、「スタイルや画風は継承できるが、感覚は個人のモノなので継承できない」という事実が会場で、ハッキリ理解できました。
等伯さんの没後、長谷川派作品の装飾性は強くなっていますが主題は、ユルくなってます。

今回の展示作品の中で、竹鶴図屏風に、深く心を揺さぶられました。
以前は、あまり意識しなかった画中の余白部分が特に素晴らしい。

竹林を通り抜ける湿気を含んだ空気の蒼い香りと、鶴の羽ばたきや鳴声が感じられる作品です。
これぞ、光と大気を描く等伯!!

もう一つ、「ライバルは切磋琢磨を加速させる」
ということを改めて認識しました。
私は、長谷川等伯さんをライバルとして日々精進します。

2011年11月7日月曜日

< 熱いガラスにアツイ思いを込めて >



熱気ムンムンの工房で、気合いを入れて制作しています。
作っては眺め、考え、壊し、また創る。。。
新作の完成をご期待ください!

2011年10月25日火曜日

気合いを入れてスタート!!


ガラス熔解炉を解体して、中のルツボを新しい物と入れ替えます。


日々の酷使で痛んだ設備も、感謝しながら補修します。
こんな地味~なメンテナンス作業無しでは、ガラス作品の制作はできないんです。

気合いと共に火を入れて、いよいよ溶解炉が再稼働です。

2012年は2月から個展が始まります。
例年に比べて2ヶ月も早いスタートなので、すでに新作の構想を練り上げ、もちろん準備は万端!

皆様に、とっておきの新作と「呼継」の新たな展開を楽しんでいただけるよう
全力で取り組みます。
展覧会まで、もうしばらくお待ちくださいネ。


工房からの夕陽が、毎日の疲れを癒してくれます。
この美しさ、心に滲み入りますよ~

充実した今日一日に感謝 ! !


2011年10月12日水曜日

パリで見かけた呼継 !?



シャルル・ド・ゴール空港で、あっっっビックリ !!!
この感性は、間違いなく「呼継」だっ!

タイトルも Ex-Libris en Kimonos「キモノ」。

美を探求する世界中の人々に愛される日本のキモノ。
キモノが「呼継」のスタイルで新しい表現に生まれ変わる、
これぞ世界に発信するべき、現代の日本の美意識です。

素材は違うけれど、私が追求しているガラスの『呼継』と全く同じ感性。
エルメスさんにパクられた気もするけれど??、ここは日本文化のために大目に見てあげましょう。

世界に向けて頑張るぞ!!!ニッポン!!!

2011年10月11日火曜日

アテネ アクロポリスにて

古代都市 アクロポリス。
高台にそびえる神殿は、アテネの街中から常に崇められる存在だったのだろう。
新しくなったアクロポリスミュージアムは、発掘中の遺跡をガラスで覆って作られた斬新で美しい博物館。5000年前の展示物の壮大さは、ワクワクする演出によってさらに観覧者の感動を大きくしている。
見せ方、伝え方の大切さをあらためて実感。

アクロポリス BlogBooster-The most productive way for mobile blogging. BlogBooster is a multi-service blog editor for iPhone, Android, WebOs and your desktop

2011年10月4日火曜日

嘆きの壁からゴルゴダの丘を臨む@エルサレム

エルサレム

宗教、戦争、外交と複雑に絡み合ってきた歴史ある街です。

美しく管理された、活気のある明るい街でした。 BlogBooster-The most productive way for mobile blogging. BlogBooster is a multi-service blog editor for iPhone, Android, WebOs and your desktop

エジプトへ

5年ぶりのエジプトです。 1月の革命での混乱以後、観光客は以前の4分の1程にしか戻っていないようですが、 出会った若者たちは、みな新しく生まれ変わろうとするエネルギーが溢れ、キラキラと輝いた目で未来への希望を話してくれました。 Pyramid BlogBooster-The most productive way for mobile blogging. BlogBooster is a multi-service blog editor for iPhone, Android, WebOs and your desktop

ローマから

ローマ、Civitavecchia から船で、ギリシャのPilosへ。
Pilos1

どこまでも澄んだ空、深い碧い海、空気、光…。
この透明感をガラスで表現した〜い‼

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2011年9月22日木曜日

秋の気配

先日、工房で対談させていただいた小原流五世家元  小原宏貴氏 が、
私の花器にプライベートで花を生けてくれました。




透明のガラス器のレンズ効果を活かして、あえて鶏頭の足元を見せる面白いカタチ。
どっしりと深紅のベルベッティーン感と全体の動きをだしてくれる陽気な脇役さん、いいですね。
シッカリと芯の通った、その上に遊び心を持った生け手の心が伝わってきます。

対談の様子と私の工房で制作した小原氏の作品は、『 挿花 10月号(10/1 発売)』に掲載されます。
お楽しみに!

2011年9月20日火曜日

文楽を楽しむ

国立劇場45周年記念の文楽を観てきました。
ユネスコ無形文化遺産に登録された日本が誇る伝統芸能です。
本日の演目は
 「寿式三番叟」(ことぶきしきさんばそう)
 「伽蘿先代萩」(めいぼく せんだいはぎ)
 「近頃河原の達引」(ちかごろかわらのたてひき)でした。




太夫(浄瑠璃語り)、三味線、人形遣いの三業で演じられる文楽ですが、
一体の人形を三人がかりで動かし、人形遣いが堂々と観客の前に姿を現すのは
世界中の人形劇の中でも類を見ないスタイルです。


公演後舞台裏で、人形遣いの吉田勘彌さんから実際に使っている人形について教えていただきました。
頭部と骨格が木製です。予想外に重くてビックリ。
人形の着物は色艶やかで、広い観客席からでも日本の色が華やかに際立っていました。

人間ではなく人形が演じることで、表情や動きが制限されるのは表現法として不利に思われます。
しかし、観る側の想像できる範囲が広くなり、かえって強く心に入り込めるのを実感しました。

「 真の美は、不完全を心の中で完全にできる人だけが発見することができる 」
岡倉天心の一節が納得できる人形浄瑠璃です。

『 要素を削ることによって、より強い表現にする 』 
これぞ日本の美意識!!!
文楽の世界でも発見した日本の美意識を、ガラスで世界に発信するのが私の使命です。

2011年9月18日日曜日

まだまだ暑いぞっ  南国 (?) 房総半島

自然界の造形を間近で観察するために様々な植物を育てています。

今回は、サボテンとカエルのツーショットです。

1) 野心的なカエル → トップは誰にも渡さない。(意気込みは尊敬しますが、、、)




2) 同化しているつもり? (なりきることが大事ですね。)


辺り一面が夕日に染まる頃には、虫の音が耳に心地良く、確実に秋の訪れを感じます。
毎日、沢山の楽しい発見を与えてくれるこの環境に感謝!!!
自然界の中の美を消化し、自身の表現に創り上げていくぞっ。


2011年9月3日土曜日

キモノで 呼継

私が近年情熱を注いでいる「 呼継 よびつぎ 」シリーズ。



「 ガラスは割れる 」という常識を逆手に取り、「割れたガラス」をより強いデザインに生まれ変わらせた作品です。  

キモノを連想させる「 割れた色ガラス 」の華やかさが緊張感をともない、金箔の上で日本の美意識を主張しています。 
 
呼継とは、割れた茶碗に別の部品を入れ込み修復する手法で金継(きんつぎ)技法の一種です。



そのガラス作品「呼継」と同じコンセプトでキモノを再生しました。

箪笥に眠っていた母の古いキモノから選び出したのがこの3枚。




いろいろ相談した上、 3週間後には。。。。


見事に歌舞いた長着と陣羽織に生まれ変わりました!

型を知り尽くしてこそ、型を破って楽しめる、これぞ「型破り」。
技術と知識、感性が揃ってできるワザです。

先達が守り、そして洗練を続けてきた日本の美を、今この時代に花開かせ、
世界に向けて発信していくのが私の使命だと思っています。

ドンドン進んで行きますよ~!!!

作ってくださったのは藤工房さん、100年以上続く京都の仕立の店です。



2011年9月1日木曜日

「 20代のうちにやっておきたいこと 」@ SHUTTER magazine

写真家 山田敦士氏編集 フォトカルチャーマガジン「 SHUTTER 」 。




「 20代のうちにやっておきたいこと 」
写真家を目指す20代に、各界の年長者から応援メッセージを送るコーナーです。
ここに私も参加せていただきました。

私からのメッセージは、
『 今いるコミュニティーで、今までのスタイルで収まろうとするより、
広い世界に飛び出していってガンガン暴れよう 』っていうような内容です。

20代に向けたメッセージということだったのですが、本当は自分自身に向けての意味合いも大きいです。


日本の文化を背負って世界に向かって攻めて行く、その背中を見せてあげられないと、
次の世代は閉塞感をつのらせて国内で萎縮してしまうでしょ。

日本の将来は私の背中に賭かってる???
そんなコトはないと思いますが、とにかくチカラいっぱい頑張るぞ〜!!!
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

それから、もう1ページ
「 Camera Boy:街で見かけたおしゃれな男子に似合うカメラを持ってもらってスナップ 」 で
20代男子達に混じって、ストリートスナップされています。
間違いなくボーイではありませんが、笑って許してください。
ここは、年齢詐称しておくべきだったかな~?

おかげで、異なるジャンルのクリエイターの友人が増えました。
山田敦士さん、ありがとう。

2011年8月28日日曜日

一年の成果

今日は朝から、工房の前の田圃で稲刈りが行なわれています。
千葉県も原発事故の影響で、農作物への被害が心配されていましたが、茂原市役所の発表では、放射能による米の汚染は無いということです。
地元の農家の皆さんもひと安心。。。



工房の庭でも、無花果の木がたくさんの実を付けました。



中東では1万年以上も前から栽培されていたといわれ、人類とは古い付き合いの果物です。
割って中をよく見ると、無花果は内側に向かって花が咲いているような不思議な造形をしています。
こんな楽しい造形、残念ながら私のアタマでは考えつきません、、、、

音もなく香もなく常に天地は 書かざる経を繰り返しつつ    ( 二宮尊徳 )
  
ヒトも当然、自然の摂理の中で生きています。
自然の恵みを受け、自然の美しさに感動しながら、また自然の恐ろしさを知ります。


自然いっぱいの此の地に工房を移転して8年が経ちます。


ダンサーの田中さんに、「土の中には全ての色と形と生と死があるから、耕しなさい」というアドバイスをいただき、自分の手で土に触れるようになって、以前は見えなかった自然の命と美が私に語りかけてくれるようになりました。


今日も夕日が、燦然と柿色に輝きながら木々の向こうに沈んでいきます。
地球上の命を育ててくれる太陽に感謝です。
栗も今年は豊作!
花ショウガ どこを切っても良い香りです
百日紅 毎年綺麗に咲いてくれてありがとう

2011年8月20日土曜日

皇帝の愛したガラス @ 庭園美術館

国立エルミタージュ美術館所蔵のガラスコレクションが、東京都庭園美術館で日本初公開されています。

ベネツィア、ボヘミア、フランスのガラスを見る機会は多いですが、
ロシアのガラスは今まで全く馴染みがなかったので、とても気になっていました。

18世紀半ば以降、ロシアのガラス製造の技術は円熟期を迎え、ロシア帝室ガラス工場も整備されました。
やはりガラス製造の技術は、彫刻や建築のように西ヨーロッパからロシアに伝わってきているのが分かりますね。

ベネチアの吹きガラス、ボヘミアのカットガラス、フランスのアールヌーボー、アールデコ等の表現を一生懸命に追いかけたのでしょう。
素材の技術や製造技法が、地理的、時間的にロシアガラスに与えている影響がよく理解できました。

17世紀にはすでに、ベネチィアの精密な吹きガラス技法は完成されていました。
入口近くには、素晴しいラティチェッロ技法の皿やレースガラスのゴブレットが展示されています。

17世紀に作られたボヘミアのエングレービング(絵画を彫り込む技法)は、その芸術性も技術力もワンダフル!!

中国の磁器を模して作られたベネチィアのガラスにはビックリ!! ですが、マイセンも元々
は、中国や日本の磁器に憧れたんですから。

ロシアガラスの中には、一見、ボヘミアの名品と見紛うようなロシア製のガラスもありました。

ただ、ロシアガラスは、独自の発展を成し遂げて、世界的な認識を受けるまでには至らなかったように感じます。

世阿弥が云う、「得たるところあれども、工夫なくてはかなわず」でしょうか?

日本独自の発展を遂げた21世紀のガラス芸術私 西中千人が世界に示さなければ、という思いを強くしました。





2011年8月7日日曜日

小原流五世家元 小原宏貴氏 と 西中千人の共演


小原流五世家元 小原宏貴氏が、工房にいらっしゃいました。

月刊誌「小原流 挿花」に掲載される対談コーナーの取材と、
私のガラス花器を使ったコラボ作品の制作を行ないました。
小原氏には、カメラマン、編集長、ライター、制作アシスタント、花屋さんの計7名が同行。
プロ集団の息の合った仕事が始まります。
制作に使われる花材。日本全国の有数の生産者から集められた選りすぐりの花たち。
さすが青山花茂本店さん!
日本の伝統文化を継承し、その上に「現代の表現」として自身の新しいスタイルを次々と発表される
小原氏の「攻めの感覚」と、
私が常に追い求める「世界に発信する、日本の伝統に基づいた現代ガラス」という
コンセプトが共感でき、とても話が弾みました。
作品を制作する「ガラス工房」というストイックで特殊な空間での作品制作と撮影。
『撮影のための白い背景紙の前で活ける通常の場合とは違い、
かえってスムーズに活けることができた』と小原氏。
ひとも花も一期一会、私も今回のプロジェクトのチカラになれて、ヨカッタヨカッタ。
花もガラスも表現の素材として「美しい」という共通点があります。
「日本の美意識を異文化に向けて、理解できるように伝えていく」という使命を果たせるように
これから日本が世界での文化的な役割を増々担っていけるように、
この国の表現者一人一人が頑張っていかないと、という思いを強くしました。

対談の内容、小原氏の作品は、月刊誌「小原流 挿花」10月号(10/1発売)に掲載されます。
どうぞお楽しみに。