2020年10月30日金曜日

自分自身から解き放たれる旅 16 <チェコ 後編>

 ブログ「自分自身から解き放たれる旅」 について

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チェコ トゥルノフ Turnov  2017年8月


プラハから北へ80Km、ガーネットの産地としても有名な Turnov。
宝石やガラスの加工関連会社が集まる自然豊かな美しい街。

20年以上の付き合いになるガラス研磨用具のメーカー2社を訪問した。

モーゼル、ボヘミアクリスタル等のガラス工芸の歴史が長いチェコで、
とても重要な技術を持つ会社だ。


ガラスを削るダイヤモンド砥石をオーダーメイドで作ってもらっている DIAS。
日本の江戸切子の職人さんにも、気に入って使ってる方が結構いる。

今回初めて会った次期社長(左) Ondrej Romany氏は、身長197cm の好青年。


社長、技術部長とは20年ぶりの再会となった。
「オレたちは老けちゃったよ、お前は変わらないなぁ〜って」熱烈歓迎を受ける。


一緒に工場を案内してもらった。

ガラスの加工には欠かせないダイヤモンド工具を作り続ける工場は、
伝統的な旋盤などの機械とコンピューター制御のハイテクマシン(ドイツ製)が共存する楽しい空間。



ダイヤモンドホイルを作るための型。
大きさ形状、多種多様に対応している。




職人さんの手仕事がとても大事な工程。


日本とチェコの道具に関する基準や慣習の違いも、現物を前に直接会って話せば一発解決。


更に使い易いものを作ろうと、細かい要望にまで真摯に耳を傾けてくれる姿勢が頼もしい。





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発砲ウレタン製のガラス研磨工具メーカーPOLPURへ

日本では今でも、木やコルク、石で作った古くからの道具を使っている職人さん達がいるが、チェコをはじめ、ヨーロッパでは今やスタンダードになっている発泡ウレタン製のガラス研磨ホイルを開発した会社。






















右が創設者のPavel Brustmann


次期社長のOndrej氏に、いつもはメールでPolpur製品の使い勝手や、新製品についての相談にのってもらっている。
DIASとPOLPURはとても仲の良い会社。
次期社長ふたりは、偶然にも同じ名前 Ondrej氏。



良い道具は作業工程の効率化だけでなく、作り手の気持ちまで高める。
ありがとう Brustmann 親子。
これからは道具を使うたび、彼らの顔が浮かぶだろう。



会社訪問の後、BRUSTMANN社長が、TURNOV近郊を案内してくれた。


Zelezny Brodにある名門ガラス学校 、彼もこちらの卒業生。
富山ガラス造形研究所で教鞭をとったフランティシェック ヤナーク氏の同級生だ。


学校の中も案内してもらった。




ガラスアートのギャラリーDETESK には、とっても珍しい作品達が。


チェコ第一のガラス作家 Libensky氏の義父の フィギュア作品が展示されていた。






伝統的なカットガラスやチェコが誇るエングレービングの作品も。



さすが、ボヘミアンクリスタルの国、チェコって感じです。


最後に、この地域の伝統的な建物。
綺麗なログハウスは屋根瓦も木製。


TURNOVから少し足を伸ばすと、さらに自然豊かな場所がたくさん。



ガラスと芸術と自然を満喫しに、必ずまたチェコに来よう。


2020年10月23日金曜日

自分自身から解き放たれる旅 15 <チェコ 前編>

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ボヘミアンガラスの聖地 チェコへ

2017年8月

先ずはプラハ

美しい建造物が立ち並ぶヴルタヴァ Vltava 川沿い。






Jan Letzel が設計した、ひときわ優雅な通商産業省。
広島に彼の建築作品があると聞いた。
もしや、、、、、そう、ドーム部だけが面影を残している。




世界で最古、最大と言われるプラハ城  










「第一次大戦前までは、建築も音楽も科学技術もチェコが世界一だったんだ」と
フランティーシェック ヤナーク氏が、毎日話していた。
(彼はチェコ出身のガラスアーティストで、富山ガラス造形研究所時代の上司です。)

実際、プラハは14世紀には神聖ローマ帝国の時代にはローマと並ぶヨーロッパ最大都市。
16世紀にはハプスブルク家の下、ヨーロッパの文化の中心都市として栄華を極めた。


プラハの旧市街では、夜、あちこちの教会の中でコンサートが開かれる。



St. Nicholas ChurchとSt.Michael Monasteryに
オーケストラのコンサートを聴きに行った。


やはり人気はスメタナとドボルザーク。



目の前で演奏される楽器の音や歌声が、天上から降り注ぐように響いてくる。




神々しい空間の中で、ナショナルシアターのソリストたちの呼吸や楽譜をめくる音、奏者同士の目の合図までが伝わってくる。

鍛錬を積み重ねた生身の人間が繰り出す真の表現に、堪らなく私の心を揺さぶられた。

日本でも身近にこういう機会があるといいのになぁ。


Karlovy Vary 

プラハから2時間。
飲む温泉で有名な Karlovy Vary 
ロシアからの観光客が多いので町中 ロシア語の看板ばかり。



街の至る所で温泉が湧いている。
小さなコップを買って温泉を飲むんです。(ビミョ〜な味ですよ)









007の映画も撮影されたお洒落なリゾート地。
なんだかイマイチ野暮ったいのもアジなんでしょうね。



Moser

ほど近くの
モーゼル Moser のガラス博物館&工場へ。(こっちがメインです)




さすが、エングレービングとカット装飾ガラスの本場。  
練習すれば誰でもできるようなもんじゃない、想像を超えた繊細な技術です。
全部一人で彫ったのかなぁ、どれくらいの時間がかかったんだろう?





連帯窯&チームスタイルの吹きガラス制作は、
ガラス工場でキャリアをスタートした私には、とても懐かしいけれど、
MOSERは、制服がオシャレ。



ワイングラスのステムやフット(脚の部分)のガラスを1人で巻き取り、
伸ばして拡げる職人さんを見るのは初めて。
それも、サンダル履きでタバコを吸い、ビールを飲みながら !!!




ガラスを拭き込む型、木製のはサンプル用かな?



あまり見たことがないカーボン製の型



製品のデザインを含めて工場全体の緩やかな感じが、とても印象深かった。


クトナー ホラ Kutna Hora



地元のワインを売る小さなショップ
笑顔につられてつい買っちゃいました。

銀の採掘で栄えたクトナー ホラ Kutna Hora


13世紀にはヨーロッパで産出される銀の3分の1は、ここで採掘されていた。

木彫家フランティシェク・リント

骸骨教会として知られるセドレツ納骨堂。
1870年に
地域開発のために墓地を掘り返して出た4万人分の人骨から、
1870年に木彫家 フランティシェク リントが1万人分を使い組み上げた装飾。

圧巻、そして純粋に美しい。



等身大の聖杯(と呼んでいいのか?)の脚部、よく見ると細工が凝ってる。




教会オーナー家の紋章
オーナーさんは喜んだのか?聞いてみたい。






立派な八腕のシャンデリアが吊り下げられる。




シャンデリアの下には、22の頭蓋骨からなる4つの小尖塔。



老若男女、私も含めて誰もがコレです。






ガイドしてくれたモニカに、骸骨装飾をどう感じているかと尋ねると
「人間の姿の一つのプロセスだから」と笑顔。
いきなりの深い生死観に少々戸惑った。
死のとらえ方は即ち、生の意味なんだよなぁ。

でも、彼らは先祖の墓参りには行かなそうだな?!と感じた。








2020年10月22日木曜日

2020年10月16日金曜日

自分自身から解き放たれる旅 14 <イタリア トスカーナ フィレンツェ>

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プライベートジェットで快適にフィレンツェへ !! (もちろんウソ!)
空港が狭いのでこんなに小さなジェット機、揺れた〜〜。





フィレンツェといえばココ!!
外観は地味に見える メディチ リッカルディ宮殿。
私が最も感動した場所がこの扉の中。



美術品はモチロンだけど、特に床の大理石細工は想像を超えた精密な作業を考えたら卒倒しそう。
自分たちのプライベート空間を作るとコレなのか !!! 怖い程の本気を思い知らされた。
人を集めたり公開したりする為の場とプライベートの場とに対するメディチさんの考え方が体感できる。


よく言われるが、フィレンツェは本当に街ごと美術館。
それもこれも、メディチ家が芸術を支えたお陰。
15世紀には、ボッティチェリ、ダヴィンチ、ミケランジェロもパトロネージュ。



ピッティー宮殿と裏のボーボリ庭園


ボーボリ庭園はノビリしていいのかも、日本庭園好きの私には拍子抜けだったが。



14世紀初頭に建てられたロマネスク様式のベッキオ宮殿はフィレンツェ市役所として活躍中。市民に愛されて、まだまだ現役だ。







ヴェッキオ宮の塔から見下ろす街並、赤い屋根
照りつける太陽と乾いた空気が、繁栄の歴史を際立たせる。



街に溶け込み、バランスも素晴らしい サンタマリア デル フィオーレ。
この景観を何世紀にもわたり維持&修復するのが、国民の高い美意識の証だね。





入浴剤で有名な ?? サンタマリア ノベッラ教会。     
フィレンツェで最も重要な教会はバラ窓や内部の美術装飾が素晴らしい。

1612年には薬局の認可を受け、トスカーナ大公のメディチ家から王家御用達製錬所の称号を貰ってる。
昔は敷地内で土葬をしていたようだ。(今も匂いが名残っている)





気合の入った彫刻や噴水がアチコチに当然のように設置される街。




生きる豊かさを感じさせてくれる



私がフィレンツェで生まれてたら、生き方は大きく変わっていただろうか?
伝統から抜け出すのコトの大変さを思い知るのかな?なんて考える。



美味しいフィレンツェ 
プロシューテリアでは沢山の種類の生ハムの原木が私を呼んでいた。
スライスしてもらい、その場で食べると
熟成されたアミノ酸の香りと旨味が、あ〜たまらない。






アイスクリーム屋さんが街中に沢山あって、ヤバイ美味しすぎ。





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少し郊外へも足を伸ばして。
まずはシエナ

イタリアで最も美しいファザードを持つといわれる シエナ大聖堂、言葉が出ない美しさ !!!
ロマネスクとゴシック様式を併せ持つ華やかな大理石の建物は、複雑な社会事情の中 14世紀に完成。





外壁の彫刻も息を飲む美しさ。




当然内部もコノとおり。
クリスチャンではない私が手を合わせたくなる、何かを感じる空間を体感してほしいな。



イタリアで2番目に高い102メートルのマンジャの塔。(お姫様が閉じ込められる感じ?)
カンポ広場に立つシエナ共和国のシンボルは1344年の完成、手前はシエナ市庁舎。




この日は、800年以上も続く伝統的な競馬「パリオ」がカンポ広場で開催されていて、それはもう大賑わい。






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トスカーナ郊外のオーガニック農場へ

自然環境や土作りに関心が高い国 イタリアでは、アグリツーリズモ(農業+観光)を展開している、
農薬や化学肥料を一切使わない有機農法で作物を育てる農園を訪れた。




太陽と土のエネルギーで育つ植物、それを食す人間も地球の一部なんですよ。




この農場では牛も飼っていて、循環型の農法でワインも作っている。
ランチは有機野菜と有機ワインで大地の力を分けてもらった。
エネルギーチャージ。





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斜塔で有名なピサ

私にとってピサの斜塔は「近代科学の象徴」。
ガリレオ ガリレイが1589年に行った、質量の異なる球を落下させる重力の実験。(実際には弟子の作り話のようだけど)

当時信じられていた「重いものほど早く落下する」というアリストテレスの学説を
シッカリ制御された実験により覆したガリレオの科学的観点に、未来を変える大きな一歩を感じる。





教えられたことや、常識、人が言ってることは鵜呑みにしない。
腹落ちするまで自ら追求を続ける。

宗教裁判にかけられても「それでも地球は動く」を貫いた ガリレオ氏。
私の理念の大きな基礎になっています。


芸術文化の歴史が積み重なる場にどっぷりと浸り、
人間だけが持つ想像力の無限の拡がりを体感した。


ダビンチ、ミケランジェロ、ボッティチェリ、多くの先達が残した
人間性が溢れ出し、しかも時代を超えて見る人の心を大きく揺さぶる作品達。


数世紀後の今の時代、芸術家が果たす役割は当時と同じでいいのか?

創作活動で追求を続ける以外はない