2011年8月28日日曜日

一年の成果

今日は朝から、工房の前の田圃で稲刈りが行なわれています。
千葉県も原発事故の影響で、農作物への被害が心配されていましたが、茂原市役所の発表では、放射能による米の汚染は無いということです。
地元の農家の皆さんもひと安心。。。



工房の庭でも、無花果の木がたくさんの実を付けました。



中東では1万年以上も前から栽培されていたといわれ、人類とは古い付き合いの果物です。
割って中をよく見ると、無花果は内側に向かって花が咲いているような不思議な造形をしています。
こんな楽しい造形、残念ながら私のアタマでは考えつきません、、、、

音もなく香もなく常に天地は 書かざる経を繰り返しつつ    ( 二宮尊徳 )
  
ヒトも当然、自然の摂理の中で生きています。
自然の恵みを受け、自然の美しさに感動しながら、また自然の恐ろしさを知ります。


自然いっぱいの此の地に工房を移転して8年が経ちます。


ダンサーの田中さんに、「土の中には全ての色と形と生と死があるから、耕しなさい」というアドバイスをいただき、自分の手で土に触れるようになって、以前は見えなかった自然の命と美が私に語りかけてくれるようになりました。


今日も夕日が、燦然と柿色に輝きながら木々の向こうに沈んでいきます。
地球上の命を育ててくれる太陽に感謝です。
栗も今年は豊作!
花ショウガ どこを切っても良い香りです
百日紅 毎年綺麗に咲いてくれてありがとう

2011年8月20日土曜日

皇帝の愛したガラス @ 庭園美術館

国立エルミタージュ美術館所蔵のガラスコレクションが、東京都庭園美術館で日本初公開されています。

ベネツィア、ボヘミア、フランスのガラスを見る機会は多いですが、
ロシアのガラスは今まで全く馴染みがなかったので、とても気になっていました。

18世紀半ば以降、ロシアのガラス製造の技術は円熟期を迎え、ロシア帝室ガラス工場も整備されました。
やはりガラス製造の技術は、彫刻や建築のように西ヨーロッパからロシアに伝わってきているのが分かりますね。

ベネチアの吹きガラス、ボヘミアのカットガラス、フランスのアールヌーボー、アールデコ等の表現を一生懸命に追いかけたのでしょう。
素材の技術や製造技法が、地理的、時間的にロシアガラスに与えている影響がよく理解できました。

17世紀にはすでに、ベネチィアの精密な吹きガラス技法は完成されていました。
入口近くには、素晴しいラティチェッロ技法の皿やレースガラスのゴブレットが展示されています。

17世紀に作られたボヘミアのエングレービング(絵画を彫り込む技法)は、その芸術性も技術力もワンダフル!!

中国の磁器を模して作られたベネチィアのガラスにはビックリ!! ですが、マイセンも元々
は、中国や日本の磁器に憧れたんですから。

ロシアガラスの中には、一見、ボヘミアの名品と見紛うようなロシア製のガラスもありました。

ただ、ロシアガラスは、独自の発展を成し遂げて、世界的な認識を受けるまでには至らなかったように感じます。

世阿弥が云う、「得たるところあれども、工夫なくてはかなわず」でしょうか?

日本独自の発展を遂げた21世紀のガラス芸術私 西中千人が世界に示さなければ、という思いを強くしました。





2011年8月7日日曜日

小原流五世家元 小原宏貴氏 と 西中千人の共演


小原流五世家元 小原宏貴氏が、工房にいらっしゃいました。

月刊誌「小原流 挿花」に掲載される対談コーナーの取材と、
私のガラス花器を使ったコラボ作品の制作を行ないました。
小原氏には、カメラマン、編集長、ライター、制作アシスタント、花屋さんの計7名が同行。
プロ集団の息の合った仕事が始まります。
制作に使われる花材。日本全国の有数の生産者から集められた選りすぐりの花たち。
さすが青山花茂本店さん!
日本の伝統文化を継承し、その上に「現代の表現」として自身の新しいスタイルを次々と発表される
小原氏の「攻めの感覚」と、
私が常に追い求める「世界に発信する、日本の伝統に基づいた現代ガラス」という
コンセプトが共感でき、とても話が弾みました。
作品を制作する「ガラス工房」というストイックで特殊な空間での作品制作と撮影。
『撮影のための白い背景紙の前で活ける通常の場合とは違い、
かえってスムーズに活けることができた』と小原氏。
ひとも花も一期一会、私も今回のプロジェクトのチカラになれて、ヨカッタヨカッタ。
花もガラスも表現の素材として「美しい」という共通点があります。
「日本の美意識を異文化に向けて、理解できるように伝えていく」という使命を果たせるように
これから日本が世界での文化的な役割を増々担っていけるように、
この国の表現者一人一人が頑張っていかないと、という思いを強くしました。

対談の内容、小原氏の作品は、月刊誌「小原流 挿花」10月号(10/1発売)に掲載されます。
どうぞお楽しみに。