2016年10月29日土曜日

無一物を観る茶会

三年ぶりに手に乗せて、じっくり対話させていただく。
利休さんの好みを長次郎が形にした、重要文化財 赤楽茶碗「無一物」。
名前の通り、何モノでもない無作為が魅力といわれている。

長年愛され続ける魅力は、どこにあるのだろう?
前回は、その本質の部分が腑に落ちなかった。
私にとって「強敵」であった。


今回は、碗の姿を通して自由で清々しい「心」を感じることができた。
感じる者の求めに応じて解釈できる、自由で素直な世界が在った。


この日の午前に行った「禅 心をかたちに」展(東京国立博物館)で感じた「心の在り処」だ。
http://zen.exhn.jp

この展覧会では、何体かの木像が私に語りかけてくれた。
作者の感性、洞察力と技術を以て、木を彫刻した作品が、
モデルとなった尊者の生き様を私に説いてくれた。

技術やデザインは「心の在り処」を伝えるための道具。
それ以上でも以下でもない。


茶の湯も禅もアートも、究極「人が生きる意味」を追い求める道。
一生掛けて追い求めたくて、私はこの道を選んだ。




「無一物を」ひっくり返して底から見た形が、与二郎作の釜「阿弥陀堂」にソックリでビックリ。
林屋晴三先生の心が伝わる道具立てだった。 



 
本阿弥光悦作 赤楽 「大ふく」で濃茶をいただいた。
この碗が、今の私の肌感覚にとても合う。







2016年10月28日金曜日

日々 アップグレード

毎年、この季節の恒例行事となっている吹きガラス設備のメンテナンス。
ガラス熔解炉を解体して、内部に設置してあるルツボを交換します。



先ず扉を外します。
自前のフォークリフトを持ってるだけあって、操作には自信があります。


今回は、炉内床の打ち直しを含めて、特に丁寧に補修しました。
次の作品制作への気合いも湧き上がってきます。
火を止めているこの時期が、自身をアップグレードして、次の創作に向かう為の大事な時期です。   



2016年10月26日水曜日

パリで アートと茶の湯の祭典『ARETHE』

パリのMIZEN FINE ART GALLERY が主催する
アートと茶の湯の祭典『ARETHE』(Art &Tea) 。

http://www.mizenfineart.com

http://www.nishinaka.com/news.html#ARETHE



茶の湯を通して日本の現代工芸の魅力を発信する茶会や展覧会などのイベントが、パリ市内5カ所の会場で、9月1日 から10月31日 まで開催されています。


私の茶器、水指なども茶会でお使いいただいています。
現地の外人さんが、実際に点前をされていますよー。




パリの皆様に日本の茶の湯が、
カタチだけではなく、歴史や空気感も含めて
どのように感じていただけるのか、とても楽しみです。

10月31日まで 
MIZEN FINE ART GALLERY で日本の現代作家の茶道具などが展示されています。





写真提供 : MIZEN FINE ART GALLERY

















2016年10月7日金曜日

茶入と仕覆の競艶

釜師の長野新さんにお使いいただいている拙作 茶入呼継。


新さんの叔母様である長野みどりさんが仕覆を制作してくださいました。




粋で品格があり、日本を魅せる仕上がりに茶入も誇らしげです。

そういえば、この茶入をお使いいただいた2013年の初釜は
大雪で電車が止まり、新幹線で帰ってきた!!という深く心に残る茶会でした。

http://nishinakayukito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_18.html




2016年10月4日火曜日

ファルマシア 『 薬学がくれた私の道 』

日本薬学会が発行する、研究者と技術者向けの学術誌「ファルマシア」に、
インタビュー記事が掲載されました。


異分野に進んだ薬学出身者へのインタビューのコラム『 薬学がくれた私の道 』です。
 
星薬科大学卒業した際の、私の卒論研究は
「ドラッグデリバリーシステム(薬物体内送達システム)」だったような?!

薬科大学で学んだ無機化学は、ガラス作品制作にも役立っています。
それに加えて、なぜ化学薬品がヒトの体内で薬効を表すか?等を考える訓練が、
形のない思想から作品を生み出す発想の基礎になっていたんだ、と実感。
薬科大から芸術の道に進んだ経緯、アメリカ留学、
私にとって芸術作品とは、薬学生に一言、など、お話しさせていただきました。