2014年10月16日木曜日

名画を切り、名器を継ぐ

井戸茶碗を真十文字に割って、ヒビを強調するために金を埋める。

割れた青磁の茶碗に打ち込まれた鉄のカスガイを景色として愛でる。
黒茶碗に華やかな文様の陶片を組んで継ぐ。

他には類を見ない独特の美意識、これぞ日本のサムライ魂。



生と死を哲学し尽くしたから、器にとって致命的な傷である筈の「ヒビ割れ」にさえ美を見出し得た。

生き様そのものが美意識になっている、これぞまさしく命の表現。

この生き様に触発されて生まれたのが、私が取り組んでいる「ガラスの呼継」。

何百年も後の世の人々の魂を揺さぶり、血を騒がせる日本独自の『 継ぎの美学 』 。

根津美術館で 11月3日まで。