2012年12月30日日曜日

この一年も、ありがとうございました!

いつも西中千人を応援し、支えてくださり、心からお礼申しあげます。
       
脈々と受け継がれる日本の美意識を礎に、未来へ続く、新しい「 唯一」を創り出す。
   
今年も新たなチャレンジが、少しずつカタチになりました。
  
陶芸の金継にヒントを得た、不完全の美「ガラスの呼継 よびつぎ」には、
沢山のご支持をいただき、ロンドンでも好評を得ました。
日本庭園「ガラスの枯山水」では、住空間に溶け込むガラスの魅力をお伝えですることができました。
  
現在も、新たな「ガラスの呼継」が進行しています。   
また、日本庭園への取り組みも、ガラスの魅力を再発見しつつ、自らも楽しみながら続けています。
このワクワクを、展覧会で皆様と共感できれば嬉しく存じます。
 
健やかに新しい年をお迎えになられますよう心よりお祈り申しあげます。


平成二十四年十二月                      西 中 千 人




2012年12月25日火曜日

「 2013年 注目のアーティスト100 」に選ばれました。



アートコレクターズ 2013年1月号にて
『 色模様のガラス片を継ぎ合わせて造形する独特の表現「呼継 よびつぎ 」は時に儚く、時に力強くもある。
洗練された造形感覚に魅了されるファンも多い。... 』と、ご紹介いただきました。

「 呼継 よびつぎ 」とは、陶器の壊れて足りなくなった部分に異なる陶片を埋め合わせ、漆で接着し、継ぎ目に金を蒔いてヒビ跡を誇張する日本独特の修復技法です。

壊れたことがわからないようにする一般の「修復」という概念を、180度覆す「呼継」の精神に惹かれました。
欠点を魅力に変えて、器を生まれ変わらせる精神は、「不完全の美」を愉しむ「日本の美意識」そのものです。

「 割れるという儚さ 」、「 割れたガラスの鋭くてヒトを寄せつけない強さ 」というガラス素材の魅力に、「能や歌舞伎の衣装を彷彿とさせる日本の色」を込めて「 ガラスの呼継 」を制作しています。

私の作品に多くの方が共感してくださることは、とてもうれしいことです。

2013年は、この「ガラスの呼継」で、さらに多くの方に美と感動を伝えていきたいと思います。




2012年12月23日日曜日

床掛けは『 キリスト 十字架への道 』



「今日の茶の美術のあり方に徹底して取り組みたい」と続けられている
林屋晴三先生席主の茶会に出席させていただいた。

クリスマスの茶席を、どんな道具組みで演出されるのか楽しみにしていたのですが、
今回は、ルオーの『 キリスト 十字架への道 』が迎えてくれました。

そこに岩田久利作の緋赤の花入。
さすが!! この取り合わせにはビックリでした。

そして、何といっても、たっぷり取ってくださる道具の拝見の時間は、この会の一番の楽しみ。
茶会のコンセプトと、道具のひとつひとつについて、じっくりとお話しくださる。

作り手にとっても、ここまで大切に道具をお使いいただけることは、この上ない喜びです。

林屋先生ご自身の美意識を集結した極上のもてなしに、参加者は皆、今回も酔いしれました。



2012年12月17日月曜日

柔らか〜いガラス



今日も涼しいので、快適に作品制作に集中しています。
熱~いガラスは、柔らかくて、ハサミでチョキチョキ切れるんですよ。



2012年12月9日日曜日

文楽 = 削ぎ落とした表現

人形浄瑠璃の公演を観せていただいた。


http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2012/1780.html

人形を使った舞台なので、ヒトが演じるものに比べ、当然、動きや表現は限られる。

だからこそ、観る者の感情が入り込める余地が、より大きくなる。
繊細な顔の動きや手の動きで、悲しみや憎しみ、喜びが、表情が変わらない筈の人形から溢れ出すように伝わってくる。

いろんな要素を削ぎ落とすことで、表現がより強くなってることに気がついた。

この人形浄瑠璃も、まさに、岡倉天心が説いた

「 True beauty could be discovered only by one who mentally complete the incomplete.  」 
「不完全の美を自らの内で完全にできる者のみが真の美を見出せる」

という、日本の美意識で説明されるように思う。


幕間に、苅萱桑門筑紫いえづと(かるかやどうしんつくしのいえづと) 守宮酒の段で、女之助を演じられた、人形遣いの吉田勘彌(かんや)さんに楽屋でお話を伺った。

「初めは人形が重い、が、チカラを入れなくても、数時間、人形を使えるようになる。だんだんと余計なチカラが必要なくなる。」

やはり、余計なチカラを削ぎ落とすのが、繊細な表現の奥義なんですね。
勘彌さん、有難うございます。

表現者として、日本の美意識に多いに共感した1日でした。



2012年12月8日土曜日

吹きガラス日和


熱気溢れる工房での制作。
寒い日は頭が冴え、集中力が高まり、新たな発想が生まれます。




2012年12月5日水曜日

酒器展 / 日本橋タカシマヤ   ぐいのみ「 呼継 」



割れを継ぎ、より魅力的に生まれ変わらせる日本独自の修復技法「 呼継 よびつぎ 」。
その美意識に触発され、不完全の美を現代に表現したガラス呼継シリーズ。
今回は、ぐいのみを出品しています。


   毎年恒例の酒器展には、
   陶芸、ガラス、漆、金属など、約90名の作家の800余点の酒器が集合。
   手にとって、お気に入りの一点を見つけてください。


   12月5日(水)→1月4日(金)
   日本橋タカシマヤ 6階 美術画廊 工芸サロン
   午前10時―午後8時 ※最終日は午後4時閉場

http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/index.html#os1264



2012年12月2日日曜日

利休と織部

畠山記念館で開催中の「 利休と織部   茶人たちの好みと見立て 」を観てきました。

作為が前に出過ぎない華やかさと、大きく入った貫入が妙に調和している、長次郎の赤樂 『早船』。   
自然釉が彩り豊かで、欠けた口の一部が本体に焼け付いた荒々しさの 伊賀花入『からたち』。  
古田織部が所有していた、大袈裟な割高台が特徴の歌舞いた 熊川茶碗『若草』。

この展覧会では、桃山時代の茶人好みが解りやすく展示されています。
私自身が古典を観る際に、ひとつの基準としている、「時代や社会背景と美との関係」をあらためて認識させてくれました。

展示室内には茶室や露地庭もあり、水の音を楽しみながら茶を喫することもできるようになっています。

館内の企画展示は勿論、四季を良く考慮して造られた庭園は、美しく色づく紅葉が心を落ち着かせてくれます。
露地の蹲がとても興味深いので、お見逃しなく。

12月16日まで

http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2012/autumn.html