2012年9月30日日曜日

日本文化の良き理解者

ロンドンからKatieが、工房を訪ねてくれました。
来年の Saatchi Gallery でのアートフェアの打ち合わせです。



25年以上も日本人作家の作品を取り扱うギャラリストの彼女は、
日本の文化や伝統を、とても良く理解しています。

彼女の「目利き」を信頼し惚れ込んでいる、沢山の欧米のお客様に対し、
日本の文化を紹介してくれる我々の良きパートナー。

外から見ることでしか気づかない日本のアイデンティティを日本人に教えてくれます。

私の個性や、進みたい方向を理解して、
「 Yukito ならこれができる、これをアピールするべきだ 」と気づかせてくれる
良きアドバイザーでもあります。

いつもありがとう、Katie !


2012年9月24日月曜日

ガラスの庭


 室内空間に、「ガラスを用いた庭を作ろう」という発案から始まった今回のプロジェクト。

湧水をガラスの飛び石で表現し、外庭の水流へと続く「枯山水の庭」を作りました。
制作中の外庭を眺め、そして施主のS様がコレクションされている美術品を見せていただいたり、
趣味や仕事のお話をお聞きするうちに、イメージが湧いてきました。


清流、石組、水鉢、水の音。
庭では、抽象化された宇宙が広がっています。

庭を流れる水の源流となる「湧き水」を表現するのが、このガラスです。
水が湧き出てくるかのような、繊細な文様を削り込んでいます。



先ず、粘土で原形をつくります。
その原形をもとに型を作り、ガラスを詰めて電気炉で焼きます。



熱く熔けたガラスが徐々に冷め、ついに清らかな水の塊へと生まれ変わりました!


全身ずぶ濡れでの磨き仕上げ。
摩擦熱でガラスが割れないように、水をかけながらの作業です。


ガラスの飛び石と並んで、もうひとつの見どころ。


実はこの水鉢、私の工房でガラスを溶かしていたルツボなんですよ。
一年間、休まずに1300℃の高温でガラスを溶かし続けていたものが、
今では清らかな水を貯え、心地よく水の音色を響かせています。
情熱の火から静かな水へ、180°転じたルツボの第二の人生が、ここS氏邸で始まったのです。

木村グリーンガーデナーの庭師、木村博明さんの総仕上げで、まもなく庭全体が完成です。

待ち遠しいな!


2012年9月9日日曜日

何と楽しい茶会

「今日の茶の美術のあり方に徹底して取り組みたい」と続けられている
林屋晴三先生席主の茶会が、昨日行なわれた。
人間国宝から若手まで、現存の作家の作品を従来の常識を破って取り合わせられ、毎回大勢のファンを魅了している。

林屋先生の茶会は、ハートに響く!
参会者が皆、気持ちを通わせられる和やかな雰囲気の中で、心底もてなしてくれる。

今回の茶会のコンセプトをじっくりとお話しくださり、
質問にもひとつひとつ丁寧にお答えになられる。
そして、道具の解説や作家の紹介も詳しくなさり、道具の拝見にも十分な時間をとってくださる。

こんなに楽しい茶会があるだろうか?



今回、茶器には私の作品 創作切子「波跡」が登場した。
青いガラスから、ほのかに抹茶の緑色が透け、深い海の底のような色に見える。

林屋先生が、おっしゃる『存在感』の意味がよく理解できる。 



茶碗  
十五代 樂吉左衛門氏の作(右)
    人間国宝 鈴木藏氏の志野(中央)。
圧倒的存在感!

次回はどんなサプライズがあるのだろうか。

前回の茶会についてはこちら→
http://nishinakayukito.blogspot.jp/2012/07/blog-post_16.html



  

2012年9月4日火曜日

実りの秋

工房のイチジクが、豊作です。


お尻が少し割れ、甘い香りを放ち、
触ると潰れそうになるくらいまで木で熟してから食べると美味しいですね。

皿は、「薄 冰」(うすごおり)。
板ガラスを割って、繋いで、熱で熔かしてくっつけたものです。
硝子と接して20年以上たった今でも、
割れたガラスの儚さと尖った力強さには、心を揺さぶられます。