国立エルミタージュ美術館所蔵のガラスコレクションが、東京都庭園美術館で日本初公開されています。
ベネツィア、ボヘミア、フランスのガラスを見る機会は多いですが、
ロシアのガラスは今まで全く馴染みがなかったので、とても気になっていました。
18世紀半ば以降、ロシアのガラス製造の技術は円熟期を迎え、ロシア帝室ガラス工場も整備されました。
やはりガラス製造の技術は、彫刻や建築のように西ヨーロッパからロシアに伝わってきているのが分かりますね。
ベネチアの吹きガラス、ボヘミアのカットガラス、フランスのアールヌーボー、アールデコ等の表現を一生懸命に追いかけたのでしょう。
素材の技術や製造技法が、地理的、時間的にロシアガラスに与えている影響がよく理解できました。
17世紀にはすでに、ベネチィアの精密な吹きガラス技法は完成されていました。
入口近くには、素晴しいラティチェッロ技法の皿やレースガラスのゴブレットが展示されています。
17世紀に作られたボヘミアのエングレービング(絵画を彫り込む技法)は、その芸術性も技術力もワンダフル!!
中国の磁器を模して作られたベネチィアのガラスにはビックリ!! ですが、マイセンも元々は、中国や日本の磁器に憧れたんですから。
ロシアガラスの中には、一見、ボヘミアの名品と見紛うようなロシア製のガラスもありました。
ただ、ロシアガラスは、独自の発展を成し遂げて、世界的な認識を受けるまでには至らなかったように感じます。
世阿弥が云う、「得たるところあれども、工夫なくてはかなわず」でしょうか?
日本独自の発展を遂げた21世紀のガラス芸術を私 西中千人が世界に示さなければ、という思いを強くしました。