呼継とは、陶器の欠損した部分を陶磁片で埋める技法である。
「余白を残して修復する。
すなわち、空気に本質がある。」
と、呼継の粋を語る 森孝一先生。
私は先達の美意識に思いに馳せる。
戦国の時代に侍たちが激しく刀を交え、生死をかけた戦の中で
心の平安を求めて愉しんだ茶の湯。
器にとってのヒビや欠損は、人間にたとえれば致命傷にもなる大きな傷。
侍は、そこに「生と死の美学」を見たのではないかと。
ヒビは即ち余白、それは虚無、自由、無限 ・・・ 。
私がガラスの呼継で表したいのは「生命の煌き」。
日本経済新聞 2015年9月28日 複写 |