テーマは『 夏を楽しむ 』。
広いお屋敷内の随所に、亭主の細心の配慮が感じられた。
私のガラス作品も、そのお手伝いをさせていただいた。
まずは手水鉢の柄杓置き。
シャープな板ガラスの積層が水を受け、涼やかに輝いていた。
立礼式の薄茶席で。
ガラス茶器「波跡」。
濃い紫色のガラスから、かすかにお茶の緑色が透けて見える。
水指はエミール ガレ。主茶碗は樂旦入作。
床には、創作切り子花入「五百重波」。
深く削ったマットな質感は、光を集め、ほのかな輝きを放っていた。
錫の敷板もご提案させていただいた。
別室では、氷に見立てたガラスで「涼」を演出。
点心席では、江戸時代から当家に伝わる献立を再現した料理も振る舞われた。
受け継がれる美を大切に、新しいエッセンスを加えたもてなしは、夏のひととき、招待客を心から酔わせていた。
ガラスで涼を演出したい、という亭主様の要望をカタチにした私の作品は、お客様、亭主様、共に喜んでいただくことができた。
創造する気持ちをカタチにして伝えるアーティストの仕事として、大きなやり甲斐を実感できた茶会だった。