2014年4月26日土曜日

<満席御礼>「重森千靑と学ぶ日本庭園の魅力」

4月20日、「重森千靑と学ぶ日本庭園の魅力」と題したイベントを個展開催中の古川美術館で行なった。
作庭家 重森千靑先生に日本庭園についてお話をうかがった。



重森先生には、『巨石ー作庭記ー夢窓疎石ー重森三玲ーこれからの庭』 というテーマを私からご提案させていただいた。
巨石や京都の名庭園の貴重な画像などを見せていただきながらのわかりやすい講義に、
約50名のお客様もメモを取りながら熱心に聴き入っていらっしゃった。




千靑先生の祖父、重森三玲氏は、大胆な石組みなど、それまでにない庭を作られ、昭和のアバンギャルド 、日本庭園の革新者として著名であるが、
日本庭園史研究の基礎となる『日本庭園史図鑑』26巻を上梓するなど、
自ら日本中の庭園を実測し、深く伝統を研究されていた。 




場所を移動し、爲三郎記念館で私が制作したガラスの庭についてのご感想をうかがった。
日本庭園の第一人者である重森先生が、私の新たな試みをどのように評価されるのか、ずっと気がかりだった。

重森先生からは、
「見る前は、どんな奇をてらったコトをするのだろうか、と心配だったが、
実物を見てみると、あまりにも周囲に溶け込んでいて違和感が無く、逆に驚いた」
「ガラスでありながら自然の石のような風情がある」
「醍醐寺、三宝院庭園の石英質が析出した藤戸石とオーバーラップした」
というお言葉をいただけて、心から嬉しかった。

また、1000℃の熔けたガラスを筆に見立て、和紙を焼き焦がし書いた茶室の床掛け「別無工夫」についても、
「和紙を焼くと墨になるという意味では墨で書くのと同じ。
表現の材料としているガラスを用いた「書」とは面白い。」と。

新しいチャレンジを、「伝統を踏まえた上での次なる一歩」という言葉で評価していただけた事は、

挑み続ける私にとって最上のエールとなった。


*別無工夫:室町時代の禅僧で作庭家の夢窓疎石の言葉で、
解釈は諸説あるが、私なりには「一瞬も無駄にせず精進せよ」と捉えている。